全ての国民が加入を義務付けられている社会保険。その中で1番身近に感じるのが公的医療保険ではないでしょうか?
公的医療保険は3つに分けられます
公的医療保険 | 対象 |
---|---|
健康保険 | 会社員とその家族 |
国民健康保険 | 自営業者等とその家族 |
後期高齢者医療制度 | 75歳以上の人 |
これらは日本国民なら全ての人が対象で加入していて社会保険料として支払っていますが、給付内容を詳しく知らないばかりに受け取ることの出来るお金を放置しています。
毎月保険料を支払っているのに「もらえるお金を受け取らない」なんてもったいない!!!!
そうならない為にも、この記事では誰でも分かりやすいように公的医療保険(健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度)の給付内容をFP資格取得者が解説します。
給付内容は6つ!
公的医療保険の給付内容は全部で6つありますが、それぞれに受け取れる給付と受け取れない給付があります
給付内容 | 健康保険 | 国民健康保険 | 後期高齢者医療制度 |
---|---|---|---|
療養の給付 家族療養費 | ◯ | ◯ | ◯ |
高額療養費 | ◯ | ◯ | ◯ |
出産育児一時金 家族出産育児一時金 | ◯ | ◯ | ❌ |
出産手当金 | ◯ | ❌ | ❌ |
傷病手当金 | ◯ | ❌ | ❌ |
埋葬料、家族埋葬料 | ◯ | ◯ | ◯ |
療養の給付、家族療養費
日常生活の病気や怪我について診察や投薬等の医療行為を受けることができます。
これは皆さんご存知と思います。医療機関の支払いで『自己負担額3割!』というやつですね。ですが自己負担額は年齢で変わることはご存知でしょうか?
0歳〜小学校入学 | 小学校入学〜70歳 | 70歳〜75歳 |
---|---|---|
2割 | 3割 | 一般所得者 2割 現役並み所得者 3割 |
一方、75歳以上の人が加入する『後期高齢者医療制度』は以下のようになります。
後期高齢者医療制度 | 自己負担割合 |
---|---|
一般 | 1割 |
現役並み所得者以外で 一定以上所得のある人 | 2割 |
現役並み所得者 | 3割 |
これらが「療養の給付、家族療養費」の基本!健康保険等で1番身近な給付内容ですね!
高額療養費
公的医療保険の中でも特に知っておいて頂きたいのが『高額療養費医療制度』です。
⭕️内容
- 高額療養費医療制度・・・月間の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その超過額について請求をすれば、あとで返金を受けることができます。
少し難しいので分かりやすく説明すると
『月にどれだけ高額な医療費がかかっても、自己負担限度額があり、その金額以上は支払わなくて良い』というものです。
自己負担限度額は自身の収入によって異なります。
所得区分 | 自己負担限度額 |
---|---|
①標準報酬月額 83万円以上 (810,000円以上) | 252,600円+(総医療費ー842,000)×1% |
②標準報酬月額 53万円〜79万円 (515,000〜 810,000円未満) | 167,400円+(総医療費ー558,000)×1% |
③標準報酬月額 28万〜50万円 (270,000〜 515,000円未満) | 80,100円+(総医療費ー267,000)×1% |
④標準報酬月額 26万円以下 (270,000円以下) | 57,600円 |
⑤住民税非課税世帯 (低所得者) | 35,400円 |
難しい!😭
自分がどの区分かわからないよ!
「標準報酬月額って何の事?」と思う方が多いかと思います。少し難しいので( )内の金額を参考にして見ましょう!
報酬月額を書いているのですが、この金額が給料や手当などを含んだ月収です。ですので自分の月収の区分を見て見ましょう。
(例えば月収が30万円の人の区分は③、月収が25万円の人は④)
自己負担限度額の例
例えば、月収が35万円、がん等の病気で医療費が1ヶ月に100万円かかった
所得区分は上記の表で③の為、計算式は
80,100円+(総医療費ー267,000)×1%
この場合、
①病院に支払った金額
1,000,000円×3割(療養の給付)=300,000円
②自己負担限度額
80,100円+(1,000,000ー267,000)×1%
=87,430円
③返金される金額
300,000ー87,430=212,570円
となります。
実質、自分が支払う金額は②の87,430円となります。
この制度のおかげで、大きな病気や怪我をしても医療費は高額にはなりません。
出産育児一時金、家族出産育児一時金
⭕️内容
健康保険、国民健康保険の被保険者(加入者)または被扶養者(その妻)が出産した場合、1児に付き50万円が支給されます。
しかし、夫婦共被保険者の場合でも重複はできない為、どちらか一方の選択となります。
出産(正常分娩)の場合、病気では無いため全額自己負担となります。その為、この制度で受け取れる給付は出産費用に活用することがほとんどです。
⭕️申請期間は?
出産の翌日から2年で時効を迎えるので期間内に必ず申請しましょう。
出産費用に一時金を使いたい場合は、出産した医療機関で申請する事ができます。
出産手当金
出産手当金は健康保険のみの給付となります。国民健康保険(自営業者等とその家族)は給付されません。
⭕️内容
出産のため仕事を休み、給与が支給されない場合
出産前42日間、出産後56日間のうちで仕事を休んだ日数分の金額が支給されます。
支給額計算方法(※標準報酬月額は高額療養費の所得区分を参照)
1日あたりの支給額=
①支給開始日以前12ヶ月分の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3
(※①は簡単に平均月収と考えてOK)
例:【①が30万円の場合】
1日あたりの支給額=30万円÷30日×2/3
=6,666円
対象期間=出産前42日間+出産当日1日+出産後56日間
=99日
総受給額=6,666円×99日=65万9,934円
となります
傷病手当金
傷病手当金も健康保険のみの給付となります。
⭕️内容
病気やケガを理由に会社を3日(待機期間)以上続けて休み、給料が支給されない場合に、4日目から通算して1年6ヶ月間支給されます。
支給額計算方法(※標準報酬月額は高額療養費の所得区分を参照)
1日あたりの支給額=
①支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3
(※①は簡単に平均月収と考えてOK)
例:【①が30万円の人が病気のため連続して10日間仕事を休んだ場合】
1日あたりの支給額=30万円÷30日×2/3
=6,666円
休業日数=10日ー3日(待機期間)=7日
傷病手当金=6666円×7日=46,662円
となります。
埋葬料・家族埋葬料
埋葬料・家族埋葬料は公的医療保険加入者全てが受け取る事ができます。
⭕️内容
保険加入者が死亡した時、葬儀をした家族に対して5万円が支給されます。扶養家族が亡くなった場合は保険加入者に対して5万円支給されます。
⭕️申請方法
故人の加入していた健康保険組合、または社会保険事務所に必要書類を郵送、または窓口で手続きを行えます。
まとめ
公的医療保険(健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度)で受け取ることの出来る給付。
給付内容 | 健康保険 | 国民健康保険 | 後期高齢者医療制度 |
---|---|---|---|
療養の給付 家族療養費 | ◯ | ◯ | ◯ |
高額療養費 | ◯ | ◯ | ◯ |
出産育児一時金 家族出産育児一時金 | ◯ | ◯ | ❌ |
出産手当金 | ◯ | ❌ | ❌ |
傷病手当金 | ◯ | ❌ | ❌ |
埋葬料、家族埋葬料 | ◯ | ◯ | ◯ |
給付内容 | 簡単な申請先 |
---|---|
療養の給付 家族療養費 | 医療時に保険証の提出 |
高額療養費 | 医療機関 |
出産育児一時金 家族出産育児一時金 | 医療機関 |
出産手当金 | 会社経由 |
傷病手当金 | 会社経由 |
埋葬料、家族埋葬料 | 健康保険組合 または 社会保険事務所 |
私たちは皆、毎月、社会保険料を支払っています。社会保険料は高額です。
高額な支払いをしているのに受け取れる給付金を受け取らないのは非常に勿体無いです。
知識を身につけ、社会保険と上手に付き合いましょう。
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